「ホームステイの受け入れをやってみたい」と検討しているものの、実際にはトラブルなどの問題が心配で受け入れたことはないという方がよくいらっしゃいます。
国が異なれば衣食住ベースでさまざまな違いがあるため、多少なりとも不安になりますよね。
しかしながら、事前に適切な期待値設定と準備があれば貴重な異文化交流に繋がります。ネットを通して知ったり見たりする情報と、実際に同じ空間で異文化を体験するのは異なります。
今回は、ホームステイ受け入れに関して不安でなかなか踏み切れない方のためにトラブル事例と対処法をお伝えします。
国際交流が盛んになっている今、ホームステイの受け入れは言語も習得できるチャンスです。私は学生時に2回ほどホームステイの受け入れを体験しました。今となっては、見知らぬ学生の滞在を許可してくれた両親に感謝です。
今までに受け入れたことがある方も、これから受け入れを検討されている方もぜひ参考にしてみてください。
【目次】
ホームステイ受け入れで発生するトラブル
ホームステイ受け入れによるトラブルは、予期せぬ様々なことが考えられます。特に初めてホームステイの受け入れを経験されるご家庭では、どのように接するべきなのか戸惑うこともあるかと思います。
ホストファミリーとして実際によくある代表的なトラブル事例を3つ紹介します。
事例①過剰すぎるおもてなしが引き起こすトラブル
「せっかくの日本滞在なのだから」と典型的な日本文化を体験できる場所や食べ物を紹介したものの、留学生の反応がイマイチ、または疲れたような様子です。
「せっかく下調べしたのに、なぜ」と気を落とす必要はありません。実は、留学生は思っている以上に緊張していたり学校の課題で忙しい場合が多いです。
実際には特別な食事ではなく、日常的に家の食卓に並ぶような家庭的な料理や時間を過ごしたかったというパターンでした。
事例②食事が引き起こすトラブル
料理上手な家庭では、あれやこれやと沢山の日本料理を作って留学生を歓迎しました。しかし、留学生はほとんど手をつけない、または半分以上を残してしまうことも続きました。
ホストファミリーとしては「料理がまずいのかな」と、心配になりますよね。
実際には少食や偏食、日本料理によく使用される生魚が苦手というパターンがよくあります。また、宗教上の理由から食べない食材もあることが判明するパターンもあります。
私はカナダ人の留学生を受け入れた際に「男性だからたくさん食べるに違いない」と、思いました。しかし、実際にはかなり少食で、かつお菓子を好む傾向がわかりました。
事例③時間が引き起こすトラブル
日本国内でも”沖縄時間”という言葉があるように、時間に対しての感覚はさまざまです。特に東南アジアからの留学生の場合には、いわゆる日本人の感覚で「遅刻」が多発する傾向があります。もちろん、全員というわけではありません。
例えば、ホストファミリーとして夕食時間を18時と決めているとします。しかし、19時過ぎてから悪気なく帰宅してきたり、終いには「食べてきた」という可能性もあります。
恐らく私のブログを読んでいる大半の方はいわゆる”時間厳守”、”5分前行動”などは理解できるのではないかと思います。
時間に対して”マイペース”な感覚を持つ留学生の場合には、ホストファミリー全体にとってストレスの引き金になることがあります。
ホームステイで起こりやすい?文化の違いによる問題
異なる国同士が交流するにあたり、普段の習慣や文化の違いによる問題は避けたくても避けられません。最初から100%を理解できなくても、まずは違いがあることを理解して受け入れることが大切です。
問題①生活習慣と食文化
留学生の宗教や文化が主に大きな課題になることが多いです。例えば、イスラム教の留学生を受け入れる場合には豚肉やアルコールを使用した料理は提供できません。また、包丁やまな板など調理器具の使い分けも徹底する必要があります。さらに、ラマダンの期間は日中は飲食は禁止になるため日没後の食事時間が必要とされます。
その他の宗教では、ヒンドゥー教は牛肉は食べないです。宗教以外にも、ベジタリアンの留学生の場合は肉全般を食べないなどの制限もあります。
食事のマナーについても注意が必要です。
日本では”残さずに食べることが美学”とされますが、中東など一部の国では少し残すことが礼儀とする習慣があります。
宗教などとは別で、学生生活は多感な時期でもあります。「食べれない」「食べたくない」という場合には、留学生に無理に進める必要はないことを大前提として覚えておきましょう。
食事面は留学生にとって大きな影響を与えるため、柔軟に対応することがスムーズな受け入れに繋がります。事前に食べ物の好き嫌いを留学生に確認しておくことでトラブルを避けることができます。
問題②家庭内のルール
日本の家では靴を脱ぐことやお風呂に浸かることが当たり前ですが、留学生にとっては初めての体験になることもあります。
実は、湯船に浸からずに数分間のシャワーを浴びるだけという文化の国も少なくありません。そのため、留学生にとって湯船の共有に強い抵抗感がある場合もあります。
湯船の使用は強制せずに、まずは丁寧な説明をする必要があります。日本のルールという説明ではなくて、どのような理由や目的があるのかを説明することで留学生への理解を得られやすくしましょう。
問題③社会的・宗教的の価値観
まず注意したい点はノックです。欧米文化として家族であっても必ずノックして入室します。「入るよ〜」などの言葉だけではなく、必ずノックすることを徹底しましょう。
次に、留学生が信仰している宗教への配慮です。
例えば、イスラム教は1日に5回の礼拝が必要です。そのため、礼拝には清潔な専用スペースと時間が必要であることを理解しましょう。
時間に対する考え方や文化の価値観などは尊重し合うことが大切です。異文化交流として違いを事前に理解しておき、実際の受け入れの際に柔軟に対応できる準備をしておくと安心です。
ホームステイ受け入れトラブルへの対処法
ホームステイ受け入れの際に、ホストはどのようにトラブルに対処するべきなのでしょうか。トラブルを対処するためのポイントを3つお伝えします。
対処法①対話による問題解決
日々の会話や些細な行動を通して、気になる点はメモをしておくと良いです。問題の早期発見により、有効な対処法を絞るためです。
基本的には、問題発見後に話し合いをすると良いです。その際には「〇〇人は〜」というような先入観は捨ててみましょう。1人の人間として、どのような解決策と提案ができるのかコミュニケーションを取ることが大切です。
対処法②外部サポートの活用
もしも家庭内での問題解決ができなかった場合には、専門的なサポートに頼る必要もあります。学校に専門のサポートがあれば相談してみることもできるでしょう。
文化的な価値観の違いによる深刻な問題に発展した場合や、心理的なストレスが懸念される場合には無理をしないことが大切です。
対処法③記録
トラブルが発生した際には感情的にならずに、冷静さを維ことが有効です。そのために時系列とともにメモを取っておくこともできるでしょう。
ポイントを抑えておくためには、
- 問題の内容
- 留学生の態度や反応
- ホストファミリーとして話し合った内容
などを整理し、記録しておくと良いです。記録するとなると一見めんどくさいように思えるかも知れませんが、最初防止にもつながる貴重な材料になります。困っている他のホストファミリーがいたら手助けできるかもしれませんので、ぜひ活用してみてください。
ホームステイ受け入れトラブルを防ぐには?
ホームステイ受け入れを成功させるために、あらかじめ準備できることがいくつかあります。
事前準備と環境整備
家に留学生が来るわけですから、ホストファミリー全員での話し合いをしておくことが大切です。
最低限の話し合いの内容としては、
- ホームステイ受け入れ期間の確認
- ホストファミリーのそれぞれの役割分担
- 食事とお風呂のルール確認
などしておくとスムーズに生活できるでしょう。また、数日間ではなく数週間に及ぶホームステイ受け入れであれば、費用などの負担についても確認しておくようにしましょう。
ルール作り
留学生が来てからルールを作るのではなく、共に時間を過ごす生活空間の確保に関してルールを整えておくことも必要です。
例えば、留学生が快適に滞在できるように個室や勉強スペースなどの確保をしておくことをお勧めします。食事やお風呂などパーソナルな内容も、丁寧に共有しておくと安心でしょう。
さらに、災害などの緊急時に備えて緊急連絡先の共有や近隣の避難所の確認も安心材料になります。
サポート体制の確認
ホームステイ受け入れが初めてというご家庭は、まずは適切なサポートを整えておくことが必要です。留学の受け入れの担当教員や団体と連絡体制を整えておき、必要に応じて通訳のサポートも利用できるよう確認しておきましょう。
まとめ
ホームステイ受け入れの際に、よくあるお悩みやトラブルについて紹介しました。日本では相手のことを察したり、調和を大切にする文化が根付いていますよね。同じように、留学生の出身国にも独自の文化や習慣があります。
多くのトラブルはコミュニケーション不足や理想とのギャップが原因です。彼らの文化や価値観を知り、受け入れを楽しんでいくことが大切です。
ぜひ貴重な体験を通して、留学生にとっても皆さんにとっても素敵な思い出になりますように。