自然豊かなニュージーランドは、環境保全先進国とも言われる国です。貴重な資源を守るため、環境問題に真撃に向き合っています。
再生可能エネルギー率が80%を超え、最大都市・オークランドでは一般家庭から堆肥できるゴミを無料で回収する取り組みも始りました。
環境問題への取り組みを強化するだけではなく、女性の元首相が世界で初めて産休を取得したことも世界で話題になりました。
ニュージーランド留学をした経験から、現地の人たちの社会に対する意識やエシカルな習慣などを紹介したいと思います。
【目次】
- ニュージーランドがSDGs先進国を貫く取り組み
- 【ニュージーランドのSDGs】リデュース編
- 【ニュージーランドのSDGs】リユース編
- 【ニュージーランドのSDGs】リサイクル編
- 国や個人の平等を目指す
- ジェンダー平等の実現を目指す
- GO!再生可能エネルギー
ニュージーランドがSDGs先進国を貫く取り組み
2023年の世界ランキングでは27位(78.43pt/100pt)と、意外と上位ではなかったものの、日本もお手本にしたい環境対策の取り組みがたくさんあります。
1位はフィンランド(86.76pt/100pt)で8.33ptの差があります。
参考サイト: "Sustainable Deveopment Report 2023"
【ニュージーランドのSDGs】リデュース編
現地のスーパーでは、量り売りが主流です。袋に入っていないそのままの野菜や果物が積み上げられ、欲しい食材を必要な量だけ購入します。
今まで食材の近くによく置いてあった、小さいサイズのプラスチック袋も廃止されました。大手スーパー・Countdownでは、消費者が困らないように洗って繰り返し使えるメッシュの袋の販売を始めています。
日本の生活ではプラスチックのゴミの量が多くなりやすいですが、ニュージーランドはプラスチックの食品トレーや過剰なラッピングをしない工夫があります。
現地のエコバッグ事情については、下記ブログ記事もぜひご覧ください。
【ニュージーランドのSDGs】リユース編
現地では不要なものを捨てる前に、必要な人がいるか情報共有できる環境が整っている印象を受けました。土日には自宅のガレージで、フリーマーケットをしている家庭もよく見かけます。
日本ではヤフオクやメルカリが流行っていますが、ニュージーランドではTrade Meという有名サイトがあります。洋服や家電製品など幅広いモノを売買することができます。
日本車の中古車は珍しくはなく、むしろ性能が良いと評判です。
また、「Clothing Bin」という洋服の回収ボックスがスーパーや学校の近くに置いてあります。集められた洋服は選別された後、チャリティーショップなどで販売されます。
SDGsと寄付文化の相乗効果が期待ができる取り組みです。
【ニュージーランドのSDGs】リサイクル編
スーパーの入り口付近には、柔らかいプラスチック専用の回収ボックスが置いてあります。買い物に来たついでに家庭で出たゴミを気軽にリサイクルできます。日本は牛乳パックや食品トレーなどの回収ボックスがよく置いてありますね。
オークランドでは全家庭にコンポストを無料で配布し、堆肥として利用する珍しい取り組みを市が始めました。
家庭内で出た残飯などを、生ゴミ再生機でリサイクルします。下記リストはコンポストに入れる一例です。
- 野菜や果物のクズ
- パン・パスタ・ご飯の食べ残し
- 肉や魚の骨
- 卵や貝の殻
- テイッシュ
- コーヒーやティーパック
- お花
レモンやフィジョアなど、果物の木を植えている家庭も多くあります。「コンポストがあることで、果物の皮もリサイクルできる素晴らしい取り組み」という口コミもありました。
国や個人の平等を目指す
ニュージーランドは移民が多く住む国でもあり、先住民族マオリ族も存在します。
2018年の国勢調査によると、ニュージーランドには欧州系(70.2%)、マオリ系(16.5%)、アジア系(15.1%)、パシフィック・アイランダーズ系(8.1%)、その他(1.5%)の割合です(ダブルの人も含むため100%を超えています)。
人種や国の違い、LGBTQや障害を持つ人たちなど国民全員が公平で個人の価値観が尊重される文化が根付いています。
Air New Zealandの機内や、オークランド空港に到着すると目につく「Kia Ora 」という言葉。マオリ語で「こんにちは」という意味です。
実はマオリ語はローマ字読みをするため、日本人なら比較的すんなりと読みやすい言語です。
1840年に英国と先住民族マオリの間で締結されたワイタンギ条約により、現在のニュージーランド国家の礎となるものが築き上げられました。
英国の植民地になったものの、1947年には独立。先住民族マオリに危害を与えることなく、話し合いで条約を結んだことは世界でも珍しいです。
私が知り合った方も、国際色豊かでした。インドやジンバブエ、イギリスなど世界中から人々が集まる国です。
私が1番仲良しのニュージーランド人の友達は、お父さんがマオリのダブルです。ニュージーランド英語にプラス、マオリ独特のアクセントがあります。
また最近では、Karangahape roadにあるレストランやカフェで「LGBTQ+フレンドリー」というサインをよく見かけるようになりました。日本ではまだあまり見かけません。
同性の恋人の話などはよくでてくるため、個人の個性を尊重し合う文化があります。
ジェンダー平等の実現を目指す
1893年に世界で初めて女性参政権を取得したニュージーランドは、2023年男女平等度ランキングでは世界4位です。
日本で初めて女性の参政権が認められたのは1946年で、ニュージーランドよりも53年遅れています。また、2023年男女平等度ランキングでは日本は過去最低の125位です。
ニュージーランド過去100年で最も人気があった首相とも言われる元ジェシンダ・アーダーン首相。
日本のメディアでも多く取り上げられましたが、首相の任期中に6週間の育児休暇を取ったことで話題になりました。休暇後は専業主夫である夫に育児を任せ、仕事復帰を果たしました。
NYの会議に出席するために生まれてまもない子供を連れて夫と渡米したりと、世界でも注目を浴びました。同時に、多くの女性も勇気付けられたと思います。
ニュージーランドでは「キウイハズバンド」という言葉があります。夫が家庭で育児や家事をこなし、妻をサポートします。
日本で家事などを積極的にする旦那さんに対して「珍しい旦那さんだね」「羨ましい」など、褒め言葉を聞くことがあります。
ニュージーランドでは協力的なパートナーは当たり前で、むしろ夫の方が積極的に女性に献身的なサポートをする家庭が多い印象があります。
残業などは基本的にはなくワークバランスの大切さを重視する文化があることも特徴です。女性も重量な役職やポジションに付きやすく高収入を得ている傾向があり、男女の賃金格差は10%を切っています。
日本の男女賃金格差は、2021年時点では22.1%とニュージーランドと2倍以上の差があります。
ジェンダー平等とは女性の活躍のみを推奨するのではなく、より自由な男女の働き方を実現するための取り組みです。
GO!再生可能エネルギー
ニュージーランドは再生可能エネルギー発電分野が非常に発展しています。2025年には再エネによる発電を90%ににする目標を掲げています。
気候変動問題で避けて通れない問題の温室効果ガスですが、酪農に対する社会的圧力は大きくなっています。牛や羊などのゲップ由来にはメタンが多く占めており、二酸化炭素の25倍ほどの温室効果があると言われています。
さらに、水質汚濁につながる家畜排せつ物由来のリンや窒素が河川へ流入する量が増えている問題もあります。2030年までに、80%の河川や湖で遊泳を可能にする目標設定をしています。
国が誇る酪農産業ですが、家畜由来の温室効果ガス排出量の削減に取り組むことは必須です。2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、再エネの先陣を切っています。
ちなみに日本では水力や風力の発電方法の使用率に比べると、地熱の活用できる可能性がまだまだあるのが現状です。
日々学びながら、SDGsに積極的に取り組むことが必要不可欠です。ついついSNSなどでバズっている珍しい商品など購入したくなる時もありますが、3R (Reduce, Reuse, Recycle)も消費者として意識したいですね。